【前編】モンゴルに行ってきた!
8/10~15にかけて、乗馬をしにモンゴルに行ってきた。
3か月前の自分はモンゴルに行くことなんか全然考えていなくって、でも、凄く行って良かったな、という満ち足りた気持ち。
恐らく2か月前の6月半ばごろ。友人と食事をしながら話をしている中で「こう、なにもない、わーっと広いところに旅行に行ったみたら?」という話題になって。私が「馬が沢山見られるから北海道に行こうかな」というと友人が「せっかくだから1週間ぐらい休んで…なんならモンゴルとかでもいってみれば!?」と大胆な発言。いつもの私なら絶対に「そんなに休めないし冒険したくない!」と断っていたはずなのに、この時はなぜか「モンゴルってちょっと魅力的だな、自分に何か新しいことが起こりそうな気もするな」と少し乗り気になっていた。
そこから1週間もたたない間に良い旅行会社さんを見つけてどんどん実行に進んで行く。ひょんな巻き込まれから始まった旅行がこんなにも素晴らしいなんて全く想像していなかった。これはその旅の様子の記録。
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[旅行する前]
友人の、いい意味で無責任なつむじ風発言にうまく乗る形でさっそく旅行会社へ問い合わせ。8月のプランまで結構ぎりぎりで、今ならまだ申し込みできます!とのこと。これは行けって言われてるな…と感じながら、海外旅行があまり経験のないことなので不安な旨などを添乗員と会話し、うーん、大丈夫って言ってるから大丈夫かも、なんか、行ったほうがいい気がするな、最悪怖ければキャンセルすればいいしな、と申し込み。
実は一度自律神経が壊れてから、不安になるような場所や自宅に長期で帰れないようなところに行くのが怖く、また、人と食事を摂ることが元来非常に苦手なので海外旅行云々に関わらず1週間近くもそんな状況にいてほんとに大丈夫かなあという心配もあった。でもそれとは別に「乗馬」という観点で少しスランプに陥っていた事実があり「モンゴルで乗りこなせたらスランプ抜けられるかも」という期待もあった。
不安要素がめちゃくちゃ大きかったのに、なんとなく「ケセラセラ」。申し込みが完了してしまった。
ここから職場や家族や友人に「該当期間いませんよ~」という連絡をした。どこに行くのか聞かれるので、ここはさらっとした表情をつくりながら「あ、モンゴルに行ってきます」と伝えた。
周りのほうが色めき立った。
私の馬好きを知っている人は「いよいよ、そんなステージまで!」という顔をしたし、旅行が好きな人は「ニッチな所に!楽しみだね!」と。モンゴルを知るし人はこの地の美しさを教えてくれ、うらやましがってくれた。話した誰もが私と同じくらいのワクワクを抱いて出発の日を心待ちにしてくれた。職場の人は毎朝「もうすぐだね」とカウントダウンまでしてくれた。
皆のおかげで私の興奮が高ぶりすぎなかったのは本当に良かった。日本にいる間は直前まで普通の生活に集中できた。浮き足立ちすぎると、興奮して消耗してしまう。
[1日目]いざ、モンゴルへ
当日残したタスクはドルへの換金だけだったので少し早めに成田空港へ。毎度羽田へ品川から仕事終わりに行っていた経験からすれば成田空港は遠い。面倒臭い。荷物も多いのでどうにか乗り換えの楽なルートで成田へin。
換金後、スタバでだらだらと過ごし、色んなものの最終チェックをした。
その後集合場所へ行くと添乗員が待っていてくれて、声をかけてくれた。安心。搭乗手続きが混んでいるらしいので先に手続きをして中で落ち合うことになった。
途中諸々の掲示物を見ると、友達から借りたアクションカメラを税関でチェックしておいてもらったほうがいいように思い、提示すると、係員の見たことのないものだったようで非常に興味を持たれ、質問された。私も借りものなので答えられない。別に何も咎められたわけではないけど少しドキドキした。
中で本やちょっとした薬を買い足して、再度集合した。15人位人がいた。行く前からみなさんよく話しかけてくださった。安心。
その後、飛行機に乗り込んで、窓側に座った。見た瞬間心が躍った。機体の羽に馬が描かれている…出だしは好調だッ…!
機内では飲み物がでて、機内食がでて、コーヒーが出て、軽食が出て、凄くフォアグラな気分だった。映画を期待していなかったんだけど、2本流れたうちの1本がアベンジャーズで少し嬉しかった。英語しかなかったのでビジョンが爆誕するのをぼやっとみていた。
そのうちモンゴルが見えてきた。日本と違って山や森がないので色がのぺっとしている。ずっと同じ色。濃淡がない。高度が下がるとゲルも見えてきた。動物も見えた気がした。もう少しで着く、というところで虹が出ていた。勝手に歓迎されている気がして、とても嬉しかった。
到着したモンゴルの国際空港は「チンギスハン」の名前がついていて、リスペクトが凄いなと思った。日本だと誰の名前を付けるだろう。
空港では現地の添乗員が迎えてくれた。昼過ぎに出たので着いたのは夕方すぎ。5時間ほどのフライト。
そのままバスに乗り込むのに外に出た瞬間、「涼しい!」と感じた。聞いてはいたが涼しい。私は寒いほうには強い。ちょっと心強かった。
バスに乗り込むと現地の添乗員がいろいろ説明をしてくれるものの、10分もたたないうちに牛や馬の群れが道路わきに次々と出現。視覚と聴覚がフルで稼働して凄まじいインプットが始まった。「馬は群れる動物」と散々教えられるも、本当に群れたのをみたのは初めてだった。
窓は紫外線が強いため黒い加工が施されていて、砂ぼこりを避けるため閉めているがまだ外は明るい。日没は21時だか22時だか、とても遅いらしい。そのことも相まって道中、夕日が落ちるのを見ようということになって途中停止した。
バスから降りた瞬間、驚いたのは「匂い」。恐ろしくハーブの匂いしかしない。特定できたのはカモミールくらいだけど、いくつもの種類が混ざっているらしく、臭覚について事前に何か情報を得ていたわけではなかったし、正直獣臭いのでは、という先入観があったので非常に驚いた。
空には火星や星がくっきりとみえ、月はなかった。そしてさらに肌寒かった。めいめい少し写真をとってバスに戻り、そのあとはアトラクションのようなでこぼこ道を走った。寝られるように車内灯が落とされたけど、私はアトラクションを楽しんだ。
2時間くらいバスが走った後、私たちが泊まるゲルのある場所についた。場所は「アルタンボラグ」とパンフレットにある。
降りると現地のスタッフが正装で、馬頭琴の演奏をして出迎えてくれた。多分ついたのは現地の時間で10時だとかだと思う。そんな遅くに、寒いのに、わざわざ!という気もした。
手渡された杯に入った乳を皆で回して口をつけ、食堂ゲルに移動した。
夜は軽く水餃子が出た。黒板に毎食メニューを書いてくれるのがとても嬉しい。おもてなしの気持ちも伝わるし、旅が終わった後に見返して何が出たか知ることができる。
味付けはあっさりしていて、暖かくてするすると食べられた。
皆で自分たちが来た理由などを自己紹介を兼ねて話した。驚くことに3割くらいは星をみたり写真を取りたいとの理由で来られていた。私は余所行きの馬シャツを自慢して馬好きをアピールし、前段の友人のくだりをやかましく話し、自己紹介を終えた。
このあと、ゲルの割り当て(ゲル割)が話され、各々自分のゲルに戻っていった。私は3人のゲルで、みんな乗馬経験者。このあと5日間を一緒にする方と荷ほどきをし、その夜はみんなでずっと星を見た。0時を回ってもまだまだ眠たくなかったし、何せ眠るのを拒みたくなるほどの凄まじい星。
(お写真:風の旅行社 様)
3分に1度は流れ星が流れるし、北斗七星が偽物かと思うくらい明るく、近くに輝いている。空は滅茶苦茶に晴れて、視界のはじからはじまでが星。
本当かもしれない、嘘かもしれない風景に風の冷たさが非常に心地よかった。
[2日目]馬に乗った…かな?
≪午前中≫
朝起きてゲルの外に出てみるとすでに日は昇っていて青空の下に草原が広がっていた。草には朝露がつき、緑をより濃く見せているような気もした。今年は過去10年以上添乗員が見た中でも最も美しいというほどの草原。香りも良く、履物の裾が濡れるのも構わずに歩き回った。
どこからともなくチチチという鳴き声が聞こえてきた。探してみても姿は見当たらなかったけど、これはネズミの鳴き声で、草原の中はネズミの穴でいっぱいだった。ただこのネズミ、日本の顔や尻尾が長いものと違ってモルモットやハムスターに近く、小さかった。なんだか話によると、このネズミを狩る猛禽類を中東のお金持ちが買うことでネズミが増えているのだとか。本当だろうか。
朝ごはんはおかゆと目玉焼きやハム、トーストにあげ菓子のようなものが出て食べやすく、完食した。すでに2食連続みんなと完食している。嬉しい。
そのあとは乗馬の準備をして集合場所へ。何頭かの馬がいるのだと思ったら目の前まで数十頭の群れが連れてこられた!
しかも無口をよこでつなぐ形でなく、洗濯ロープなもののようなところにみんな繋がれている。
残された精鋭以外は放牧に戻され、選ばれた20頭近くは嘆きの嘶きを…めっちゃ嘶くやん…結構嘶くな…と思う程度に泣きわめいて己の運の強さを嘆いていた。
私たちは初歩的な講習(馬には左から近づくのである、尻や体をむやみに触るな、鐙を履きなおすな、など)を受けて各々馬に乗ることになった。
まず経験のない方から馬に乗って慣れて行く。引馬を少ししたのち、なまじ経験と知恵を付けて後ずさりしている経験者たちが乗り始めた。私が乗った馬は前髪の一部だけが少し長い、イオンにスウェットでくる家族の子供みたいな馬だった。
少し乗ってすぐ「全然だめだ、御せない」と思った。首振りも多い。そのうち全員が乗って、少し近場まで歩くことになった。
モンゴルの乗馬は片手で手綱を持つスタイルで私には初めて。両手でも毎回うまくいってないのに片手で走られたらどうしよう…とさらに不安になった。もう片方の手は鞍の前にある突起をつかんではいるものの、暴れたら完全にロデオだなと思った。
案の定、全然御せないどころか、馬がちょっと走り始めた。「手綱を引いて」という声が聞こえたが、とっくに引いている。月会費払って馬に乗っているのだ、手綱を引くぐらいできる、舐めんな、止まんねえなといろいろ思っていたところ、インストラクターのサポートがあってみんなのところに戻れた。私の馬は絶対群れに戻ろうとしていたと思う。私も馬も生意気だ。
その後もうまく方向転換ができない、というかもとに戻りたがる行動を繰り返し、非常に疲れた。恐らく2時間くらい。
戻ってきて昼食が出た。きのこスープとグラシャなどがでた。スープはベシャメルっぽくてクラムチャウダーのような味で大好きな感じ。グラシャはビーフシチューというかストロガノフというか、とにかく美味しかった。日本にいるよりいいものを食べている。
昼の記憶がないけど、昼寝したかもしれない。弓で遊んだかも。午後は夕方になるまで直射日光で陰にいないと結構暑い。
≪午後≫
午後も馬に乗る。16時から。馬は繋がれたままで一時的に群れに戻したりはしない。
正直、午前と同じ調子だと、心がしんどいというか、面倒だなーという気持ちだった。往路はインストラクターが沿い馬してくれたので落ち着いていたものの、やはり首振りがひどい。ただ帰りは少しマシになった。涼しくなったからだとみんなが言っていた。復路の時、現地のインストラクターと話していたら彼は20代後半だったから「私のほうがお姉さんだね」と伝え、年齢を告げると「24、5歳にみえますヨ」と言われた。はあ~???上手かよ??と思いながら(ちょっと嬉しい)、とにかく人と話しながら馬に乗っている余裕ができていたことは良かった。
次の日も基本同じ馬だと聞いたので、半分嫌だなと思いながら、当初の目的である「コミュニケーションを取りながら乗る」をこの馬でできれば日本に戻ってもそこそこいいんじゃないかという気持ちもあった。
戻ってきて夕食の前にシャワーを浴びた。暖かいシャワーを浴びられるなんて大変ありがたい。そのあと夕食を食べに食堂ゲルに移動する途中、美しい夕日を見た。ただ、日本のように空は染まっておらず、青く、雲も白く、そこに夕日が差し込んでいた。
この日のメインは「ボーズ」という小籠包のようなもの。もちろん美味しかった。
ゲルに戻って馬のことを話した。ゲルの仲間は乗馬経験があるので、最初の内は吐露というか、滅茶苦茶楽しいね~!!というより、いや~…というような話が中心だった気がする。私もそこそこ意気消沈していて、日本で学んだことが活かせてないな、このまま4日乗るのはしんどいな、ということを話した。ただ、ハミが嫌なのかな、とか虫が嫌なのかな、とかいろいろな思ったことの情報交換ができたのは本当に良かった。個人的にはこれでは馬に乗ったとは言えないな~と思っていた。
多分この日だったと思うけど、暖炉の薪に火をつけた。朝方、点けに来てくれた人が仲間につけ方を話しているのを薄らまなこで見ていた。ここから当ゲルは寒いときに自分たちで火をつけることに成功した。私は薪が燃えたり暖炉が赤々としているのが好きなので、この役目を買って出て、感謝されて嬉しかった。
夜は飽きもせず星を見た。昔から幾重にも表現されてきた星の美しさは、場所によっては違うのかもしれないと感じた。トイレに行ったけど道中が暗すぎてヘッドライトを点けて行く。そのくらい、暗い。だから、星が見える。光は凄いなと思った。